vSphere 6 で vCenter Server 間の vMotion を実行する場合、Enhanced Linked Mode にする必要があります。
トポロジで表すと、このような構成です。
ところで、vCenter 5.1/5.5 を Simple Install で構成した場合は、このような構成になります。
当然、この状態で vCenter 6.0 にアップグレードして Enhanced Linked Mode の構成にすると、こうなります。
しかし、このトポロジ構成は
KB2108548 に書かれている通り、推奨しない&将来未サポートになるかもしれない構成なのです。
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Topologies that are deprecated and will be unsupported in the future.
These topologies are not recommended.
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さらに、vSphere 6 アップグレードガイドには、
「アップグレードした後は PSC と vCenter Server のデプロイモデルを変更することはできない。」
と書かれています。
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vSphere 6 アップグレードガイド抜粋 |
Simple Install で構成したら、Enhanced Linked Mode を使用したくても躊躇しちゃいますね。
ではどうすれば良いかというと、アップグレード前に分けちゃえば良いんです。
分割方法は
KB2033620 に書かれています。
vCSA の場合は
KB2094888 になります。vCSA の場合は vCSA 5.5 のみ情報がありました。
今回は、この KB2033620 の方法で vCenter SSO 5.5 と vCenter Server 5.5 を分けて、かつそれぞれを PSC とvCenter Server 6.0 へアップグレードする方法をご紹介します。
作業概要は以下の通りです。
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1. 旧 vCenter SSO の情報をバックアップ
2. 新 vCenter SSO を新しいサーバにカスタムインストール
3. vCenter Inventory Service を新 vCenter SSO に登録
4. vCenter Server を新 vCenter SSO に登録
5. vCenter Server と vCenter Inventory Service を再登録
6. vSphere Web Client を新 vCenter SSO に登録
7. 旧 vCenter SSO の情報を新 vCenter SSO へリカバリ
8. 旧 vCenter SSO をアンインストール
9. 新 vCenter SSO を PSC にアップグレード
10. vCenter Server をアップグレード
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この作業の 3~6 が、KB2033620 に該当します。
早速やってみましょう。
1. 旧 vCenter SSO の情報をバックアップ
vCenter SSO の情報をバックアップする場合、以下の3つの方法が考えられますが、私が試した中では、1つしかできませんでした。
・vSphere Web Client でログインし、vCenter SSOの情報をメモする
-ユーザ、グループ
-パスワードポリシー、ロックアウトポリシー、トークンポリシー
-アイデンティティソース
-STS 証明書(メモと言うよりどの証明書を使っていたかの確認)
・バックアップせず、新 vCenter SSO を同じドメインの新規サイトとして追加し、旧 vCenter SSO の情報を複製する
・旧 vCenter SSO の構成ファイルをバックアップする(KB2057353)
正解は「
vCenter SSOの情報をメモする」です。
2番目の旧 vCenter SSO と 新 vCenter SSO を同じドメインにして、情報を複製するやり方だと、アップグレードした後も旧 vCenter SSO と同期使用としてエラーメッセージがログに出力され続けます。
3番目の構成情報のバックアップは、新 vCenter SSO のサーバ名が変わる為、使えないのです。
2. 新 vCenter SSO を新しいサーバにカスタムインストール
新しいサーバに vCenter SSO をカスタムインストールします。そのとき、vCenter SSO のデプロイモードは、「最初の vCenter Server 用の vCenter Single Sign-On 」でインストールします。
このとき、サイト名、vCenter SSO ユーザ(
Administrator@vSphere.local)のパスワードは旧 vCenter SSO と同じである必要はありません。
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一番上を選択する |
3. vCenter Inventory Service を新 vCenter SSO に登録
4. vCenter Server を新 vCenter SSO に登録
5. vCenter Server と vCenter Inventory Service を再登録
6. vSphere Web Client を新 vCenter SSO に登録
ここはKBそのままなので省略します。注意点としては、バッチ実行後、エラーが表示される場合がありますが、net start コマンドのタイムアウトなので気にしないでください。
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vCenter Inventory Service を新 vCenter SSO に登録する時に表示される |
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vCenter Server を新 vCenter SSO に登録する時に表示される |
7. 旧 vCenter SSO の情報を新 vCenter SSO へリカバリ
vSphere Web Client でログインし、作業 1 でメモした情報を入力します。
8. 旧 vCenter SSO をアンインストール
vCenter SSO のアンインストールはインストール媒体を使うか、コントロールパネルの「プログラムと機能」からアンインストールすることができます。
アンインストールしないと、次の作業で行う vCenter Server のアップグレード時に、もう使っていない vCenter SSO までアップグレードされてしまいます。
9. 新 vCenter SSO を PSC にアップグレード
10. vCenter Server をアップグレード
あとは、vCenter Server 6.0 のインストール媒体を使ってアップグレードするだけです。